アニメ・コミック

2015年11月 2日 (月)

松来未祐さん

若い人が亡くなるのは嫌だな。
これから過去の作品を見返したときに悲しくなる。

 

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2015年3月 9日 (月)

2015年1月期アニメの感想と4月期アニメについて少し

 昨年のアニメで「世界征服/謀略のズヴィズダー」と「スペース☆ダンディ」が最高だと言って、誰も賛同してくれなかったから、おそらく今回も皆おもしろくないと思うのだろうが、2015年1月期のアニメでぼくが良いと思うのは「ローリングガールズ」と「夜のヤッターマン」、「ユリ熊嵐」、「幸腹グラフィティ」だ。なんとなく百合系(?)が多い気もするが、それはぼくの趣味と言うより、ただ女の子がたくさん出るアニメが多いと言うことにすぎない(…と思う)。どれもまだ完結していないので最後に評価が変わってしまうかもしれないけれど。

 と、その前に一応、総合評価で言えばこれはもう少年誌マンガの一般向けアニメ化作品が圧倒的に質が高いと思う。「七つの大罪」や「ワールドトリガー」である。「七つの大罪」は王道のヒロイックファンタジーを王道のマンガ表現で作った作品で、ストーリーもキャラクターも大変面白い。
 「ワールドトリガー」は異世界侵略SFであり、またバトル・アニメとしても良くできているが、そこにトリビアリズムとも言えるようなギミック(トリオンという概念や詳細な武器のオプション)とアーケードゲームの対戦モードのような規格と点数制方式を織り込んでいるところが、まさに今の子供向けアニメとしてマーケティングが良くできていると思う。実際にはこうしたごった煮的要素がごちゃごちゃしてまとまりはないのだが、しかしストリーが骨太でしっかりしているために、あまりその辺が気にならないところは流石である。
 ただしこの辺の作品は料理で言えば一流とんかつ店のロースかつ定食である。子供から大人まで誰もが親しむ庶民的料理を一流の材料、一流の料理人で作ったようなものだ。受け手が期待するものを期待通りに提供する。それ自体は素晴らしいが、あまり驚きもえぐみもない。
 その点で深夜アニメはちょっとクセがあったり歯ごたえがあるが、それだけ味もあると思う。

 「ローリングガールズ」は蓋を開けたらなんとバイク・ロードムービーのロックンロール・アニメだった。ブルーハーツの歌がたくさん使われていて、これを女性声優陣が歌っているのだが、比喩ではなくいちいち心に染みて涙が出そうになる。作品のスピリットはPatriotism without Nationalism & racism(愛郷主義だが国家主義でも民族排外主義でもない)だと感じる。日本の現状を思うとポジティブな批判とも受け取ることが出来、まさにブルーハーツのスピリットだ。

 「夜のヤッターマン」はちょっと「ズヴィズダー」と似ている。ボンデージスタイルのロリ少女(!)のボスに従うオヤジたちが抑圧的体制に反逆する物語である。もちろんタツノコだけれど、ここでおそらく重要なのは、ヤッターマンとドロンボーの位置が入れ替わってる点である。かつてのヤッターマンでは正義は正義で体制側、悪は悪で反社会的という分かりやすい図式だった。ところが今回のヤッターマンではヤッターマンが正義と秩序の守護者を標榜しつつ、実は抑圧的な圧政を敷いており、ドロンジョ、ボヤッキー、トンズラーたちはそれに反旗を翻し、ヤッターマンを倒そうとする「革命派」である。これもやはり今の時代の雰囲気を反映していると思う。

 「ユリ熊嵐」は全くの百合モノだけれど、かなり抽象度の高いファンタジーである。だが注目すべきはそれ自体がファッションに留まらず本質的な「人間性」の問題として提起されているところだ。この作品のテーマは「好きをあきらめない」と「約束のキス」である。好きとキスが音の入れ替えとして何か意味を持っているかどうかは知らない。
 この作品では熊が突然変異してパワーアップし人間を襲って食べるようになっている。人間の世界と熊の世界は不断に建設され続ける「断絶の壁」によって仕切られ、一方で人間の世界には「透明の嵐」が吹き荒れており、透明になる=空気を読んで個性を出さず全体に溶け込むことの出来ない者は排除される。しかし禁忌を犯して壁を越えてくる人間の姿に変身した熊や、透明の嵐の対象になった少女を愛し続けて自分も排除の対象になってしまう少女などが「好きをあきらめない」生き方を貫こうとする。とにかくメタファーが溢れていて、見る側の感性や思想を問い続ける。表向きの表現とは違って実はかなりの硬派な作品である。

 「幸腹グラフィティ」は上記の作品とはテイストが違う日常系・癒し系の作品で、原作は知らないがアニメはソフト百合的な雰囲気を出している。グルメ・アニメとも言えるかもしれないが、別に大してうんちくがあるわけでもないし、出てくる料理も普通の家庭料理だけだ。むしろ料理を媒介として少女たちが友情を深めていくという物語である。たいした事件もなく進んでいくのだが、ぼくは特にオープニングとエンディングのアニメの出来が素晴らしいと思った。オープニングの方は不思議の国のアリスをモチーフにしているのだが人物の動きが素晴らしい。エンディングも人物のシンクロが少しずつずれていたり、ちょっとした表現が味を出している。
 「ユリ熊嵐」のエンディングの右下にちょこっと出ている熊の踊りもそうなのだが、最近のアニメのダンスシーンは本当に良くできている。はしりは「らき☆すた」とか「ハルヒ」のOP、EDだという気がするが、行き着くところまで行っているようなアニメも、実はどんどん進化していることがわかって、ちょっと怖ろしい気分にさえなる。

 さて、かなり見応えのあった1月期のアニメだったが、4月期はちょっとパワー不足という感じがする。
 原作ものの一般作品である「電波教師」や「アルスラーン戦記」、「境界のRINNE」あたりはそれなりかもしれない。「アルスラーン」はけっこう力が入っているようだし、「RINNE」は高橋留美子の原作をNHKがアニメ化するので質には期待できそうだ。「美少女戦士セーラームーン Crystal」が地上波と無料放送BSで解禁になるが、こちらもどんな出来なのか気にはなる。

 オリジナルの深夜アニメでは「プラスティック・メモリーズ」とか「響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~」あたりに期待したい。モチーフはさほど目新しくはないので、平凡な作品になってしまうのかもしれないが、逆にそれだからこそ驚くような仕掛けがあったら面白いと思う。

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